ごあいさつ

「過去は変えられないが、未来は変えられる」

20224月に北海道白糠町で開校した掘削技術専門学校は、失われつつある地熱掘削技術の継承と保存を目的とし、再生可能エネルギーの中でも安定エネルギーである地熱発電を中心とした掘削技術を体得し、日本の未来のエネルギー自給率向上のため「社会に役立つ再生可能エネルギーの技術者」を育成していくことを目標としています。

誕生したばかりの掘削技術専門学校ですが、必ずや将来の我が国のエネルギー受給をはじめとするいくつもの課題解決に役立つものと確信しています。

過去は変えられないが、未来は変えられます。職員と先生方が全力で入学される皆様をサポートしますので、日本の未来のために第一歩を本校で踏み出しましょう。

学校法人ジオパワー学園 理事長 沼田 昭二(業務スーパー創業者)


集まれ技術のつなぎ人 いま白糠へ


産業革命以来急増するCO2はいまや全人類的課題です。脱炭素化社会、カーボンニュートラルなどの用語を目にしない日はないでしょう。大切なのは大気中のCO2量を調節し、気温上昇を防ぐことで、地球の温度上昇を2050年までに1.5度以内に抑えることが当面の目標です。そのためCO2発生がほとんどない地熱発電の開発が急務と言われており、必要なのが掘削技術です。

また、掘削技術はCCS(CO2の地下貯留)にも不可欠で、CO2を発生しない洋上風力発電のための浮体着床にも掘削技術が使われています。また地震国である我が国の地震計地下設置にも、災害時に備える水井戸を確保するにも、掘削技術が必要不可欠です。

いま人類の未来にこれほど求められている技術はなく、しかも我が国の掘削技術は優れています。
ところが、我が国の掘削技術者の平均年齢が60歳~70歳であり、技術者、後継者不足という深刻な課題があります。

このままでは、10年後には我が国の掘削技術者はいなくなってしまいます。
解決策は、若いあなたが掘削技術のつなぎ人になることです。

集まれ、白糠へ。日本初、ただひとつの掘削技術専門学校へ。
私たちは、あなたの入学を待っています。

学校法人ジオパワー学園 校長 井上 政史


君たちはもとより、人類は宇宙に行けても、
地球の地下はまだ未知の世界です。


掘削(くっさく:土砂や岩盤を掘ることを意)の手法はスコップを用いて人力で掘削することから、大型の機械を用いて地下資源を開発する掘削まで幅広くあります。

人が掘削した最も深い井戸(坑井)は、ロシアのコラ半島にある深度12,261mの科学ボーリング坑です。この坑井は、1970年から2008年までかかって掘削しましたが、坑底の温度が約205℃になり、掘削が困難となったことから調査を終了しました。
地球の表層である地殻の深さは30~50kmあるといわれており、深度12km掘削したといっても地球の表層の一部を掘っただけです。地球がリンゴの大きさであれば、まだリンゴの皮の下まで坑井を掘削できていないのが現状です。この原因の一つは、掘削技術が地下深部の環境に対応できていないことです。
地震や火山などの防災、地下環境の有効利用のために、今後さらなる技術革新が求められています。

いま、人類は月に行けます。本当にすごい技術ですが、私からすれば、月は目に見える世界です。対して我々が掘る地下は、1センチ先も見えません。トラブルが起きても、常に地下を想像して対処するしかない。頼りになるのは、油や泥水で汚れながら掘っていった自分自身の経験です。
トラブルに対していろいろな対応策を考えて行動してみる。そして、なんとか対処ができる。
思うようにいかないことも多いけれど、だからこそ夢中になれる仕事です。
やってみてすぐにできてしまったら、それで終わりです。一口に掘削といってもそのたびに起こることは違い、それに自分の知恵と経験で対処していくのが、掘削の面白さです。

学校では、皆さんに「なぜ自分は掘削を仕事にするのか」を考える機会をつくっています。
それが今後、自分たちがどう社会に関わろうとしているのか、何をするべきかの道しるべになるのではと思っています。

一年という限られた時間だからこそ、皆さんが将来現場に出た時に役立つ知識を、この学校でしっかり吸収していただきたいと思っています。

学校法人ジオパワー学園 理事 島田 邦明

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